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2005/06/30

壁のポスター

wall_picture家をリフォームし、ここの壁に絵かポスターを飾ろう、
と、ずっと思っていた。
どんな絵がいいだろう、と、ずっと考えていた。

内緒にしていたが、実は私は美術館などに行くのが好きだ。

上野の美術館にも時々行くし、
ドライブがてら伊豆に行けば、池田20世紀美術館に行くし、
軽井沢に行けば、セゾン現代美術館に立ち寄る。

8年前にMOT(東京都現代美術館)で
ジャスパー・ジョーンズの回顧展があったときなど、
会期中、3度も足を運んでしまった。

人には意外な一面がある、と言うことだ。

美術館に行くときは、大抵が1人である。
妻は美術館に行くとほぼ100%の確率で眠くなるし、
かといって、妻以外に私と美術館に行ってくれるようなつきあいの女はいない。

男とは絶対に一緒に行かない。
美術館は1人で行くか、女と行くところだからだ。
誰が決めた? 私である。理由などない。

と言うわけで、新しい部屋の壁に飾る絵である。

絵が好き、美術館に行くのが好き、といっても、何でも好きかというとそうでもない。
難しい美術用語などは皆目知らないが、ルノアールとかモネとか、
そういう高尚な感じのするものは私の好みではない。

かといって、ゴッホとかピカソとか誰でも知っている画家の絵も今ひとつしっくり来ない。
何が好きかというと、現代アートとか言うヤツである。
もともとアンディ・ウォーホルが好きで、ポップアートを見るようになったが、

ポップアート、というものも案外俗っぽいところがあり、好き嫌いが激しい。
リキテンシュタインとかキース・ヘリングなど、アメリカを代表するポップアーティストは
有名になりすぎて、私のひねくれた性分にはどうも合わない。

アンディ・ウォーホルも、最近ではあまり・・・という感じだった。
では何がお気に入りなのかと言うと、ジャスパー・ジョーンズである。
回顧展に3度も足を運んだことからも、入れ込み様は分かると思う。

だから、壁に飾る絵は私の中ではジャスパー・ジョーンズと決めていたが、
実際に部屋の雰囲気などと併せて考えると、どうもしっくり来るものが無い。
我が家の壁とジャスパー・ジョーンズの絵は相性がよろしくないのだ。

では次に好きなデビッド・ホックニーは?・・・あまり合わない。
エドワード・ホッパーは?・・・絵としてはいいのだが、やはり壁との相性が悪い。
カンディンスキーは?・・・ん~~、まあまあかな・・・

どうも納得できる絵が見つからない。

いっそのことフォトグラファーの斬新な写真、なんて言うのも考えたが、
インパクトが強すぎる気がして即座に却下。
半分やけくそでアンディ・ウォーホルを見てみると、

これがしっくりと来るのだ。

どうも我が家の壁はウォーホルが好きらしい。
と言うことで、結局決まったのがウォーホルのカモフラージュ(写真)である。
実際に壁に掛けてみると、これしかない、というくらいピッタリだ。

まあ、ウォーホルが嫌いというわけではないし、
私が絵画に目覚めたきっかけを与えてくれたのも彼だし、
大好きなニューヨークで活躍した人だし、いいか。

良いも悪いもない。もう絵は壁に掛かっているのだ。
結局のところ、やはりウォーホルは偉大なクリエイター、と言うことか。

どうでもいいが。

(2005/6/30)

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2005/06/29

本日のBGM

BN_unityUnity
Larry Young (BN4221. Nov.-1965)
編成が面白い。
ラリー・ヤング(org)、ウッディ・ショウ(tp)、
ジョー・ヘンダーソン(ts)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)
のカルテットである。ベース無し、である。
ラリー・ヤングがオルガンでベースラインまでやるからいらない、
と言うことか。それはそれでいい。
この時期ブルーノートには数多くのオルガニストが登場したが、
中でもこのラリー・ヤングは非常に前衛的である。

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2005/06/28

ジジィな日々

最近、朝早く目が覚める。
最近ではない。ここ1年くらい、毎日である。
目覚ましもかけず、朝5時には自然と目が覚めてしまう。

ジジィだ。まさしくジジィだ。

その分、夜は早く眠くなる。
早いときなど、9時を過ぎると完全に生体反応ゼロになる。
単純に習慣と言えなくもないが、
12時過ぎまで起きていた翌朝も、しっかりと5時に目が覚める。

やはりジジィだ。まさしくジジィだ。

おまけに最近は近いものが見えづらいし、
少し前までは目薬はロートZiという刺激系を使っていたのに
いまではスマイル40EXという、3種類のビタミン配合のものに変わっている。

髪の毛には数年前から白髪が交じってきていたが、
最近ではヒゲにも白髪が交じってきたし、
このあいだ別の所にも白髪を発見し、愕然とした。

疑いの余地はない、私はジジィになってしまった。

ジジィになる、と言うことが、昔は恐怖だった。
私のみならず、人間誰しも老いていく事にいわれのない恐怖を覚えるものである。
老いていく、ということはもっと不安と恐怖が伴うものとばかり思っていたが、

実際自分が老化の過程を少しずつ体験してみると、
案外面白いものである。
誰にも起こされずに朝早く目が覚めるのはある意味気持ちが良いし、

近くのものが見えづらいのも、結構面白い。

どこまでちゃんと見えるか、なんてわざと本を目の前まで近づけてみたり、
白髪の交じったヒゲを鏡で見ながら、案外渋いかも、とか思ってみたり、
やっぱり目薬はビタミン入りだよな、とか言ってみたり。

年をとる、その過程を楽しんでみれば、これはこれで良いものである。
若造には逆立ちしたって体験できまい。
したくもないって?これは失礼。

どうでもいいが。

(2005/6/28)

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2005/06/26

祝・90人達成!

マイフォト、「工事現場のミスター」がいよいよ90人まできた。
これは昨年(2004年)夏より、路上で見かける度に撮り貯めたライブラリ。
目標100人まで、あと10人。
スタートして1年近く経つが、1年でここまで集まるとは思っていなかった。

あと少し、頑張ろう。
どうでもいいが。

(2005/6/26)

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本日のBGM

BN_Byrd_in_FrightByrd in Fright
Donald Byrd (BN4048. Jan. and July-1960)
非常にオーソドックスなハードバップである。
ドナルド・バードのペットも、ハンク・モブレーのテナーも
そしてジャッキー・マクリーンのアルトも
ゴキゲンにドライブする。
そして、デューク・ピアソンのピアノが絶妙である。
いまこのアルバムを聴きながらビールを飲んでいるが、
お陰で、いつものモルツが数段旨い。
酒の味が周囲の環境で大きく異なって感じられるのは
周知の事実だが、
これほどまでにビールを旨くする音楽もそうは無いだろう。

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2005/06/25

御堂筋線の翁

出張で大阪に行った。新大阪から地下鉄御堂筋線に乗る。
私の勤める会社が船場にあるため、最寄り駅の心斎橋まではこの御堂筋線に乗るのだ。
昼下がりの大阪は暑い。

そう言えば朝出てくる前に見た天気予報では、大阪最高気温31度って言ってたっけ。

思い出しただけで私の全身の毛穴から汗が一斉に噴き出す。
地下鉄は梅田を過ぎ、やがて淀屋橋の駅に到着した。
例によって私はドアの所に立っている。ドアの所が私の定位置なのだ。

ドアが開くと、数人の男女に混ざり、1人のお爺さんが乗り込もうとしている。
汚れたカーキ色のやや丈の短いズボンを履き、くすんだグレーのTシャツを着ている。
Tシャツの上には濃いグレーのベストを着込んでいる。

首にはミノルタの銀塩一眼レフをかけている。
そして左手には杖が握られている。
そしてその杖には、団扇(うちわ)とミッキーマウスのフィギュアが紐で結ばれている。

心許ない足取りで、電車に乗り込もうとするお爺さん。
ホームから車内にまず杖を差し込む。そしてその杖を数回床にドンドンと叩きつける。
それからゆっくりと車内に入ってくると、再び杖で床をドンドンとやる。

限られた停車時間である。他の男女もそのお爺さんと一緒に乗り込む。
1人の女がお爺さんに軽くぶつかってしまった。
その時である。お爺さんは手に持っていた杖で床を思い切り強く

ドン!ドンドン!ドンドドン!

と打ち鳴らす。物凄い大きな音に周りの人々は驚いてお爺さんを見た。
お爺さんは自分にぶつかった女を物凄い形相で睨みつけている。
女と目が合うと、女を睨みつけたまま、再びドドン、ドン!

おいジジィ、ちょっと怖いぞ。尋常じゃないぞおまえの行動!

そう思ったのは私だけではあるまい。
その車両に乗り合わせたほぼ全ての男女が私と同じ思いだったはずだ。
だが、みんな大人である。尋常ではないと判明した途端、見て見ぬふりである。

君子危うきに近寄らず、触らぬ神に祟りなし、犬も歩けば棒に当たる。

ジジィは私の向かいのドアの前に杖をついて立っている。
杖に結んである団扇で仰ぐ。ドンドンやりすぎて暑くなったようである。
電車は何事もなかったように走り出す。

すると、シートに座っていたひとりのサラリーマン風の男が立ち上がり、
ジジィの肩をトントンとたたく。
そして、どうぞ座ってください、と優しく語りかけた。

さすがである。
こんな尋常ではないジジィに席を譲ろうとは。
このサラリーマン風の男、立派である。

するとジジィは、あろうことか首を横に振っている。
そして何やら口元でモゴモゴと異様な声を発している。
何を言っているのか、私の所からは良く聞き取れないが、
兎に角、男の親切な申し出を断っているのは確かだ。

何を喋っているのかは聞き取れないが、その様子から見て、
ご親切にどうも、でもすぐ降りますから、お気持ちだけ有り難く頂いておきます、
などとは言ってはいなさそうである。

サラリーマン風の男は仕方なく、再びシートに腰を下ろす。
顔には僅かな微笑みと失望がない交ぜになった、複雑な表情が浮かんでいる。
ジジィは相変わらず何やらモゴモゴ呟いている。
時折、サラリーマン風の男の方をチラリと見ては、モゴモゴと呟いている。

やがてジジィは静かになった。

程なく、地下鉄御堂筋線は心斎橋駅に到着し、私はホームに降り立った。
エスカレーターに乗りながら、ふとあることが気になってきた。
ジジィが首から提げていたミノルタのカメラ。

あれには何が写っているのだろう・・・
どうでもいいが。

(2005/6/25)

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2005/06/24

本日のBGM

BN_Maiden_BoyageMaiden Boyage
Herbie Hancock (BN4195. March-1965)
久々に昔のCDを引っ張り出してきた。
これは私がCDとして初めて買ったもの。
当時(もう20年以上前のことだ)は、CDが1枚\3,500もした。
それでもLPでは味わえないノイズ感のないクリアーなサウンドに
当時やたらと興奮したのを思い出す。
やっぱり良い。
このアルバム、こうして今聴いても古さを全く感じない。
メンバーを見ると、ハービーのピアノに、
フレディ・ハバード(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、
ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)
テナーのジョージ・コールマンをウェイン・ショーターに
代えると、70年代後半に世界中のジャズファンを熱狂させた、
あのV.S.O.P.になる。
と言うわけで、サウンドはV.S.O.P.にかなり近いものを感じる。
否、この表現は間違いだ。
V.S.O.P.がハービーのこのアルバムのサウンドに近いのだ。
ハービーのピアノは勿論、個人的にはそんなに好きではないフレディの
ペットも非常にのびのびと鳴っていていい。

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2005/06/23

男の知らない世界

茨城に出張した帰り、取手の駅ビルに入っている蕎麦屋で蕎麦を食べた。
昼時を少し過ぎた時間帯、店は意外と空いている。
私は昼のランチメニューを注文した。

蕎麦を待つ間、いつものように本を読む。
ふと私の前を賑やかに話しながら二人のおばさんが通り過ぎる。
仲の良いご近所さんで食事に来た、といったところか。

二人のおばさんは私のテーブルの右斜め前方のテーブルに座る。
店員が、いらっしゃいませ、と言いながら、お茶のポットをテーブルに置く。
私の所には茶碗で持ってきたのに、おばさんたちのテーブルへはポット。

ここの店員は、オバサンがお茶を大量に摂取することを知っている。さすがである。

私は茶碗1杯のお茶で十分である。
そして蕎麦を食べ終わった後に、美味しい蕎麦湯を出してくれれば言うことはない。
だが、オバサンたちは違う。お茶を何杯も呑みながら延々と話しをするのだ。

おばさんたちのテーブルの方で声がする。
あら? とか、あらやだわぁ・・・ とか言う声が聞こえる。
そして1人のおばさんが大きな声で叫ぶ。

ちょっとすいませ~ん。

店員がおばさんたちのテーブルに行くと、おばさんたちは
お茶碗が無いのよ、お茶碗を頂戴。
店員は、ハイ、すいません今お持ちします、と言いテーブルを離れる。

ポットだけ持ってこられてもねぇ。
どうやって飲めっていうのよ。普通は一緒に持ってくるわよねぇ。
気が利かない店ねぇ、などと大きな声で話している。

店員にも十分に聞こえるであろう声の大きさである。
店員は、大変失礼しました、とか言いながら茶碗をテーブルに置く。
店員が去った後、おばさんたちは茶碗にお茶を入れながら

これじゃお蕎麦も期待できないわねぇ、などと話している。
お茶を口に含み、1人のおばさんは、あらこのお茶、香りがしないわぁ。
当然じゃないの、安いお茶なのよ。だいたいポットでお茶を出す?普通。

おまえらいい加減にしろよ!嫌ならお茶を飲まずに帰れよババァ!

声には出さない。視線でそう訴えるが、おばさんたちに視線の言葉は届かない。
本当に良い蕎麦屋は食前に出すお茶も良いものを使うのよ、とか
やっぱり蕎麦屋で出すのは蕎麦茶よ、とか好き勝手なことを喋り続けている。

そうこうするうちに私の蕎麦がやってきた。
私はめんつゆに薬味を入れ、山葵を溶かして蕎麦を一気にすすった。
その時、おばさんたちの会話が再び私の耳に届く。

うちの亭主、赤塚さんの所の奥さんと浮気してたのよ。

思わず蕎麦を吹き出しそうになる。
店への文句をさんざんに並び立てた後の、いきなりのヘヴィーな会話。
ここまで来ると、私にはちと荷が重い。こんな会話まで聞きたくはない。

私は蕎麦を急いで食べ、早々に店を出ることにした。
ちなみに蕎麦の味だが、決してまずくはなかった。

店を出て、取手の駅で電車を待つ。
先程の出来事をふと考える。なんともパワフルなおばさんたちだった。
昼時に蕎麦を食べながら、ダンナの浮気話で盛り上がる。

おまえがそんなだから、ダンナは浮気するんだ。ざまぁみろババァ!
きっと赤塚さんの奥さんは綺麗でおしとやかなんだろうな・・・
お前らほど下世話ではない。ないに決まっている。ないと信じたい・・・

どうでもいいことが私の頭の中をぐるぐると回り続ける。
あのあと、会話は更に凄いことになったんだろうな。浮気がばれた経緯とか、
ばれたときのダンナのとった行動とか、ちょっと垣間見てみたかった気もする。

平日の昼間のレストラン街。
そこには男の知らない世界がある。

どうでもいいが。

(2005/6/23)

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2005/06/22

本日のBGM

BN_Turrentine_02Up at "Minton's" volume 2
Stanley Turrentine (BN4070. Feb.-1961)
ニューヨーク118丁目にあったクラブ 「ミントンズ」でのライブ。
リーダーのタレンタインは勿論、
ギターのグラント・グリーン、ピアノのホレス・パーランが
絶妙にグルーヴしている。
この夜のライブは2枚のアルバムとして出ているが、
このvol.2の方が私は好きである。
タレンタインは相変わらずソウルフルなブロウで
ひたすらカッコイイ。

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2005/06/21

違反キップ(2) リンゴを囓る友

私が免許を取って最初の、そして最も印象的な
違反キップの思い出をご紹介したいと思う。

今から20年以上も前の話だ。
大学に1年遅れで入学した(いわゆる浪人てヤツだ)私は、
その夏念願の運転免許を取った。

当時乗っていた車は忘れもしない、ホンダのシティである。
真っ赤な1200ccのシティは、驚くほど走らない。
12月も押し迫った頃、私は親友の平石くんと奥多摩にドライブに向かった。

車の中で、二人してリンゴを囓りながら快適なドライブを続ける。
山に近付くにつれ、交通量は減少してきた。
武蔵五日市を過ぎ、道はますます山道となってきた。

緩くうねる道を、軽快に疾走する。BGMは山本達彦と、それに竹内まりあ。
典型的な当時の若造である。赤い小さな車に乗った二人の若造。
と、突然目の前に、大きな「止まれ」の旗がひるがえった。

何事か、と思いつつも、事態を飲み込めないままに私は車を止めた。
大きな赤い「止まれ」の旗を持った警官が私の方に近付いてくる。
運転席側の窓を開けると、警官は車内をのぞき込むように、

随分スピード出してたみたいだけど、なにかあったの?

えっ!? その時既に遅しである。私はネズミ取りにかかったのだ。

運転手さん、車をそっちに寄せて、あそこの車まで来て。
ああそれから免許証と車検証も持ってきてね。
妙にフレンドリィな言葉遣いに少々戸惑いながら、私は指示に従う。

指示された方角を見ると、1台のマイクロバス型のパトカー(?)が止まっている。
私は免許証と車検証を持ってマイクロバスに乗り込む。
中には長テーブルと警官が二人、そして先客が1人キップを切られている。

1人の警官が私に気付き、手招きする。
私はその警官の前に座り、免許証と車検証を差し出す。
はいどうも、とか言いながら、警官はそれらを受け取り、赤いキップを取り出した。

えーと、キミ随分出してたねぇ、27キロオーバー。
そう言いながら、何やらデジタルな書き込みがされているジャーナルの端切れを見ている。
ホラ見てご覧、ここに出てるでしょ、キミのスピード、67キロ。

聞くところによると、手前に設置されたレーダーの前を一定速度以上で通過すると、
ブザーが鳴ってここのプリンターに速度その他が印字されて出てくるらしい。
レーダー前の警官が無線でこっちにいる警官に車のナンバーを連絡する。

だから、これは間違いなくキミの出してたスピード。いい?

良いも悪いも無い。私には選択肢はなかった。
黙ってキップが出来上がるのを待つ。
横で先にキップを切られていたオッサンが、キップを手渡されている。

いくら良い車でも、危ないから制限速度は守ってね、運転手さん。
キップを受け取りながらオッサンは、警察もこんな山の中で卑怯だよな。
よっぽど暇なんだなお前ら!とか大声で息巻いている。

警官たちは何も言わず、笑みすら浮かべつつ、そのオッサンを見送る。
それはそうだろう。何を言われようと、オッサンは罰金を払うのだ。
毎度ありがとうございました。またお待ちしてマース、ということか。

程なく、私のキップも完成する。そして私に手渡しつつ、
なんでこんなにスピード出したの?
知るかそんなこと!こっちが聞きたいよ全く!

と思いつつ、さぁ・・・何となく、ですかね・・・

私の答えに無言で微笑む警官。
ハイ、じゃあこれ。25キロ以上のオーバーは赤キップだから。
ここに書いてある所に期日に来てね。罰金、結構高いよ。

トホホな気分で車に戻る。
もうドライブ気分ではない。横で平石くんは相変わらずリンゴを囓っている。
走り出すと、平石くんはボソッと呟いた。

それで対向車がパッシングしてたのか・・・

その一言に、私の背骨はのけ反った。
平石くんの方を見る。相変わらずリンゴを囓っている。旨そうに。
私の視線に気付き、こっちを向く。

おまえパッシングに気付いていたんなら教えろよ!

いつもの心の声ではない。本気で怒鳴っていた。
平石の馬鹿は、パッシングに気付いていたくせに、その意味に気付かなかったのだ。
キップを切られてから気付いたって、遅すぎだろっ!

ご存じない方のために少々説明しておくと、
運転中に対向車線でネズミ取り(スピード違反取り締まり)を発見した場合、
対向車にパッシングをして危険を知らせるのが暗黙のルールなのだ。

私の怒りをよそに、平石の馬鹿は相変わらず呑気にリンゴを囓っている。
リンゴの芯をゴミ箱に捨てながら、
彼はとんでもない暴言を吐く。

俺も運転するときは気をつけよぉっと・・・

私の怒りは頂点に達しつつあった。
運転していなければ、私は間違いなく平石の馬鹿を絞め殺していただろう。
そんな私の怒りなど全く気付くこともなく、平石はもうひとつ、リンゴを取り出す。

赤い小さな車に乗った二人の若造のドライブはまだまだ続く。

免許を取って、最初の違反キップがこの赤キップだ。
勿論、悪いのは平石の馬鹿ではなく、私である。
この時の赤キップは、しばらくは私の財布の中に入っていたが、
今はもう何処に行ったか分からない。たぶん捨てたのだろう。

いまでも奥多摩にドライブに来るとその時のことを思い出す。
ここ、ここで旗振られたんだよ、そしてあそこ、あそこにマイクロバスが止まってて・・・
運転しながら妻や子供にその時のことをつい話してしまう。

今となってはこれも懐かしい思い出である。
どうでもいいが。

(2005/6/21)

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2005/06/19

本日のBGM

BN_Blues_WalkBlues Walk
Lou Donaldson (BN1593. July-1958)
60年代後半のルー・ドナルドソンの原点がここにある。
アリゲーター・ブーガルー程の快楽主義的サウンドは
ここには無いが、よく聴くと片鱗は見出すことが出来る。
ハードバップの上にソウルフルなテイストを
絶妙に混ぜ込んでいるあたりが背筋がゾクゾクするほどカッコイイ。
意見が分かれるところだが、
私はジャッキー・マクリーンではなくルー・ドナルドソンを
ブルーノートの代表アルトおやじに認定したい。

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2005/06/18

鹿児島の思い出

ryoumanoyu家のリフォームなどでバタバタしていて
久しく写真の整理が出来ていなかった。
まだ完全に片付いたわけではないが、
他のことも放ったらかしにしておくにはそろそろ限界である。

部屋の片付けの合間に写真の整理もする。

4月に行った鹿児島の写真が出てきた。
いやぁ、良かったなぁ鹿児島。また行きたいなぁ。
などと思いつつ写真を焼いていると、
ふと1枚の写真に目がとまる。

汚い浴槽である。

だが、これは実はとんでもない風呂なのだ。
塩浸温泉といい、鹿児島空港にほど近い場所である。
この湯、江戸時代末期に坂本龍馬とおりょうさんが
新婚旅行に霧島を訪れた際に滞在した場所なのだ。

この湯のオヤジ曰く、「この湯に龍馬さんも入ったんだ」

事の真相は兎も角、龍馬好きの私としては
琴線にびんびん感じるに十分なフレーズである。
当然、龍馬さんと同じ湯に浸からずに、東京に帰れるかっ!
ということで浸かってみた。

熱い。・・・が、我慢して入る。
龍馬は熱いとか文句など言わなかったろうから。

私と入れ違いに出た何処かのオヤジが脱衣場から声をかける。
どうだ、熱いだろ。熱かったらそこに水があるから薄めて入れ・・・
あ、それからこの湯は飲むと体に良いからナ。

ご親切にどうも。だがうるさいからさっさと出ろよ!私は龍馬気分を満喫してるんだから!

肩まで浸かると、体が湯の熱さに慣れてきた。
浴槽の底が凸凹している。相当な年季が入っているようだ。
本当に龍馬が入ったのかもしれない、という思いが強くなる。

壁からお湯がちょろちょろと出ている。
手ですくいながら少し呑んでみる。
鉄の味がする。妙にまずい。体に良いかもしれないが、まずい。

龍馬気分を満喫した私は風呂から出ると、脱衣場に行く。
服を着ていると、1枚の貼り紙が目につく。
ボクサーブリーフを履きながら、何気なく貼り紙を読む。

ここの温泉のお湯は飲めません。

例によって背骨が後ろに反り返りそうになる。
飲めません、と書いてある。確かに、書いてある。
さっきのオヤジは飲むと体に良い、と言っていたではないか。

オヤジ!この嘘つきオヤジ!なんでそんな嘘をつく、オヤジ!!

地団駄踏んだところで手遅れである。
私は既に飲んでしまったのだ。飲めません、を飲んでしまった。
もう既にオヤジの姿は何処にもない。

写真を見ながらその時の光景が甦ってくる。
写真は良いものだ。それを見ることでその時の出来事を再体験出来るのがいい。
汚い浴槽の写真だが、私にはかけがえのない思い出のひとコマである。

どうでもいいが。

(2005/6/18)

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2005/06/17

本日のBGM

BN_Lee_Morgan_vol3Volume 3
Lee Morgan (BN1557. March-1957)
名盤である。
私はこのアルバムの全ての曲が好きだ。
このアルバムでは、I Remember Clifford ばかりが有名だが
なかなかどうして、他の曲もいいのだ。
1曲目の Hasaan's Dream など、ベニー・ゴルソンの
エキゾチックなメロディラインが最高にカッコイイ。
ウイスキーが最高に合う、珠玉の1枚。
飲み過ぎても、知らないぞ。

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2005/06/16

明け方の夢(2)

5月14日の書き込みで、夢の話を書いたが、
またもや変な夢を見たのでご紹介しようと思う。

数日前、非常に寝苦しい夜があった。
真夏なら、間違いなくエアコンを使うところだが、
いくら何でも6月である。多少寝苦しくても我慢してそのまま寝ていた。

明け方に何度か目を覚ます。
まだ寝られる、の思いで布団の中でゴロゴロしているうちに
例によって微睡んできた。夢を見るのはこういう時である。

夢の中で、私は昔の家にいた。
今の家は16年前に新築したもので、それ以前に住んでいた家である。
当時は家の南側に面して庭があった。

結構広い庭で、芝生に覆われていた。
その芝生の庭に立っている。
ふと、足下を見る。何かの生き物がいる。

白いウサギである。

私は何を思ったか、
そのウサギをサッカーボールよろしく蹴飛ばして遊んだ。
すると程なく、ウサギの首が取れてしまった。

これはまずい! 子供に見つかったら大変だ。

私がウサギの首をもいだことが子供にバレたら子供はきっと傷つくだろう。
私は庭の隅に穴を掘ってウサギを埋めてしまうことにする。
隠してしまえば良いのだ。そうだ、そうしよう。

スコップで穴を掘る。
程よい深さまで掘って、ウサギを埋める。
胴体を穴に投げ込む。首は? 首は何処だ?

お~い、首とってくれ。

は~い、と言いつつ首を持ってきたのは、なんと子供だった。
ありがとう、とか言いながら、子供と力を合わせてウサギを埋める。
子供にバレないように、と埋めているのに、子供がその作業を手伝っている。

それを不思議にも思わず、夢はウサギを埋め続ける。
程なく夢から目覚めたが、何とも妙な気分である。
これは良い夢なのか?悪い夢なのか?

夢のお告げ、という言葉があるが、この夢は私に何を告げているのか。

自分の願望が夢にでる、という人もいる。
だとすると、この夢に現れた私の願望とは、一体何なのだろう。
ウサギを蹴り殺したいのだろうか、否。
穴を掘りたいのだろうか、たぶん否。子供と力を合わせて何かを達成したいのか、ん~・・・

いくら考えても答えは出てこない。
現実には起こりそうもないことが起こるのが夢の良いところであり悪いところである。
夢についてあれこれ考えたところでたいした意味はない。

だが、最近見る夢と言えば、変な夢ばかりである。
カモメに糞を垂れられたり、ウサギを蹴り殺したり・・・
若い綺麗な女と想像を絶する一夜を過ごすとか、そういう夢は見ない。

夢なんだから、そういう夢みたいな良い思いをさせてくれたっていいじゃないか!

自分がリチャード・ギアになる夢とか、何処かの国の王様になる夢とか、
超豪華客船で世界一周する夢とか、その船の中で矢田亜希子と恋に落ちる夢とか、
私が矢田亜希子と恋に落ちているのをみて山口もえが嫉妬する夢とか、

私の歌う演歌が大ヒットしてオバサンたちにサインをせがまれる夢とか、
フォアグラを食べ過ぎてお腹を壊す夢とか、
江口洋介と酒を飲む夢とか、シティボーイズと舞台競演する夢とか、

そういう夢を見させてくれよ!

妄想である。
どうでもいいが。

(2005/6/16)

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2005/06/15

本日のBGM

BN_Off_to_the_RacesOFF TO THE RACES
Donald Byrd (BN4007. December-1958)
ブルーノートのジャケットはカッコイイ。
特に車を使ったジャケットのアルバムが幾つかあるが、
どれも秀逸である。
今回ご紹介するドナルド・バードも
ベンツのボンネットに肘をついて喫煙している、
そのやや遠い目が何とも渋い。
サウンドはというと、これはもう言わずもがな。
私はペッパー・アダムスのバリトンサックスがお気に入りだ。

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2005/06/14

古ソファ

土曜日に五反田に行く。
家具のバーゲンで子供のソファ生地張り替えをするためである。
子供のソファは、以前私の父が使用していたものであり、16年ものの古ソファである。

リーン・ロゼというフランスのメーカー製で、全てがスポンジで出来ている。
木とか金属を全く使用していないのだ。整形されたスポンジを生地が覆っている。
座り心地はこの上なく良い。流石はおフランス製である。

家をリフォームする際、もうスポンジも草臥れてきているし、
生地もボロボロで至る所綻びて来ているので、もう捨てようか、というと
子供が自分が使うんだと言ってきかなかった。

ちょっと待て子供!おまえリフォームして綺麗になった部屋にそれを置く気か!

子供は悪びれもせず堂々と頷く。
このソファは16年も使ってボロボロだし、生地も擦り切れて下のスポンジが見えてるし、
それになんと言っても汚いぞ、頼むから、いい子だから捨てよう・・・・

子供を説得すること30分。

子供は何やら思い詰めた顔をしていたが、やがて自分の机からハサミを持ってきた。
何をするのかと思ってみていると、なんとソファのほつれた生地の一部を
ハサミで切っている。そして、その切り取った生地を見つめつつ、

これでもう捨ててもいいよぅ・・・ううぅ・・・(泣)・・・

形見である。
ソファの生地の一部を切り取って、思い出にする気である。
子供のこの行動に、私と妻は反り返った。もう少しで背骨が折れそうである。

そこまでこのソファを気に入っているのなら、無理に捨てることもないだろう。
否、ここで無理矢理捨てようものなら、ソファの霊に呪われてしまう。
綺麗な女の霊に呪われるならまだしも、ソファなんかに呪い殺されてはたまらない。

結局、生地を張り替えて、子供の部屋に入れましょう、ということになった。
だが流石はおフランスのソファである。生地を張り替えて使えるのである。
良いものを長く大事に使う、ヨーロッパの伝統はソファにも生きている。

togo-living_272x340ところが、生地だけの張り替えのくせに、異常に高い。
1人がけソファの定価が10万以上に対し、
張り替えでも8万以上する。

おいおい、新品買っても大差ないぞ!

だが、新品では意味がないのだ。
子供が気に入っているのはボロボロの古ソファ。
これを張り替えなければダメなのだ。

こんなボロソファの張り替えに8万かよ!
いくらおフランスでも、ちょっと高すぎるぞ!
などと文句を言っていると、妻が

知り合いの家具のバイヤーに交渉してみようか、
という。まあ多少でも安くなればいいかということで
五反田に来ることになったのだ。

結果は驚くべきものだった。
バーゲンプライスが定価の30%OFF、
これで8万ちょいが5万そこそこになる。

だが、ここからさらに特別に20%引いてもらい、
買値が4万プラスアルファとなる。
これなら納得できる。納得どころかゴキゲンである。

ということで子供のボロボロのソファは4万円で新品同様に生まれ変わることになった。
張り替えられたソファは、7月に届く。
子供はそれを楽しみに毎日を過ごしている。

ものを大事に使うことは大切だが、
形見の切れ端は捨てろよ!

どうでもいいが。

(2005/6/14)

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2005/06/11

本日のBGM

BN_Newks_TimeNewk's Time
Sonny Rollins (BN4001. September-1957)
なんだかんだ言っても、やっぱりロリンズはいい。
奔放で豪快なテナーブロウは、他のサックスプレーヤーの
追随を許さない。
彼のアルバムでは、テナー・マッドネスやサキソフォン・コロッサス
あたりが有名だが、
なかなかどうして、このアルバムも侮れない。
男らしいジャズを聴きたいなら、ロリンズで決まりだ。
バックのウィントン・ケリーのピアノも渋い。

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2005/06/09

違反キップ(1)そりゃないぜ

交通違反経験ご披露シリーズ。
数回にわたり、私の交通違反経験をご紹介しようと思う。
今回は初回なので、軽くいってみる。

もう5年くらい前のことである。
井の頭通りを渋谷方向に向かい、愛車のルーテシアで走る。
吉祥寺の高架下にある交差点で信号につかまる。

私は交差点の先頭で信号が変わるのを待っている。
ふと左斜め前を見ると、小さな交番がある。
人の良さそうなお巡りさんが交番の前で立哨している。

お巡りさんと目が合う。
別に知り合いではないので挨拶などはしない。
すると、お巡りさんはツカツカと私の方に向かって歩いて来るではないか。

なんだ何だナンダ?挨拶しなかったんで怒ったか?

お巡りさんは私の車の前を回り込み、
運転席側に来て窓を開けろという仕草をしている。
顔を見ると、僅かに微笑んでいる。何だか分からないが窓を開ける。

運転手さん、シートベルトは?

非常に穏やかな口調で半分笑顔で喋っている。
しまった、シートベルト!
そう思ったときはもう手遅れだった。

ちょぉっとすいませんけど、お車こっちに寄せていただけますか。

お巡りさんの誘導で、交差点の左方向、交番の脇に連れて行かれる。
恐れ入ります、免許証を拝見。
妙に丁寧な表現にだんだんイライラしてくる。

お巡りさんは穏やかな表情のまま、白いキップを切っている。
私は黙ってキップの完成を運転席に座ったまま待っている。
やがてキップが完成し、お巡りさんはそれを私に手渡し、

事故のとき危ないから、シートベルトはちゃんと付けてくださいね、はいキップ。

私はそれを受け取り、黙って車を発進させる。
家を出るときの愉快な気分は何処かへ霧散し、
重くどんよりとした気分で井の頭通りを走り続ける。

どう考えても卑怯である。

赤信号で止まっている私を捕まえるなんて、男のやることではない。
そういう卑怯な手を使うヤツは大嫌いだ。クソお巡りめ!!
ハンドルを握る手にだんだん力がこもってくるのが分かる。

正々堂々と勝負しろよ、お巡り!
おまえ家何処だ。おまえの家の前にうんこしてやるぞ、お巡り!
頭の中を卑怯者のお巡りさんに対する怒りがぐるぐる巡る。

走り続けること30分。
徐々に怒りが薄れてくる。少しずつ事態を冷静に考えられるようになってきた。
冷静に考えてみれば、悪いのは私である。ルール違反をしていたのだから。

それは認めよう。
お巡りさんは自分の仕事をしたに過ぎないのだ。
バカバカしい話しである。あと半年、違反しなければゴールド免許だったのに。

後悔先に立たず。
この日以来、今日まで違反はしていない。

どうでもいいが。

(2005/6/9)

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2005/06/08

本日のBGM

BN_Paul_ChambersBass on Top
Paul Chambers (BN1569. July-1957)
さすがにベーシストのリーダー作だけあって
ベースソロがやたらと多い。
それに絡みつくようにケニー・バレルのギターが
乗っかってくる。
常に脇役に徹していたベースが大活躍!
そういう意味で、ベース好きには
たまらない1枚だろう。
渋くてカッコイイ、ジャズオヤジ好きのする1枚でもある。

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2005/06/07

粘っこい日

人はふとした事で機嫌が良くなったり悪くなったりする。
個人差はあるにせよ、全ての人がそうである。
朝起きて天気が良いと、それだけで機嫌が良くなる人(私だ)もいれば、
財布を盗まれても機嫌が悪くならない人もいる。

今日は私にとって、些細な事の積み重ねでストレスの貯まる日であった。
朝、会社に行こうと玄関で靴を履く。
足元を見ると、右側の靴の紐がほどけている。

ええい、朝の忙しいときに!

と早速イライラする。
靴の紐を結ぼうと、前にかがみ込む。
息が苦しい。お腹が何かに圧迫されている。

何に圧迫されているかは、すぐに判った。
お腹である。お腹がお腹に圧迫されているのだ。
前にかがむと息が苦しいほどに圧迫している。

また太った・・・

更にイライラは募る。
太っているのは今に始まった事ではないが、
お腹がお腹に圧迫されている現実から、自分の惨状を知る。

日増しに醜く変化しているな・・・などと考える。

こうしてはいられない、早く行かないと会社に遅刻してしまう。
更に太った事を気にしつつ、駅への道を急ぐ。
ん~、やばい。痩せなくては。禁煙の次はダイエットか。

などと考えていると、足下に不可思議な感触。
得も言われぬ違和感が左脚を襲う。
靴底に何かがくっついているようだ。下を見ると靴が細く糸を引いている。

ガムを踏んでしまった!

おいおい、ちょっと待ってくれ!
この靴はおニューなんだぞ。誰だこんな所にガムを吐き捨てた奴は!
出てこいコラ。相手になってやる。さあ来いこの野郎!・・・と心の中で悪態を付く。

歩くたびにネトネトと糸を引く感触を感じつつ、暫く歩く。

だんだん我慢しきれなくなってきた。
私の我慢の限界もここまでだ。
何とかして靴の裏のガムを撤去したい。

との想いが、私を新たな行動に駆り立てる。
右足を地面にこすりつけながら歩いてみる。
何とかガムを刮ぎ落とせないものか、の一心で引きずり歩きを始める。

数十歩ほど歩いたとき、それは突然起こった。

左脚を今度は激痛が襲う。
ふくらはぎが突如凝り固まり、もんどり打ち始めた。
思わず、はぅっ! とうめき声を上げるほどの痛さだ。

ふくらはぎがつってしまった!!

靴の裏のガムを刮ぎ落とそうと、変な歩き方をしたせいだ。
ガム一つのせいで、とんでもない目にあっている。
一体全体、これはどういう事だ。

家を出てから、まだ5分も経っていないのに。

私は痛い足を引きずりつつ、駅へと急ぐ。
ガムを吐き捨てた奴、許さんぞ!
お前の吐き捨てたガムのお陰で、今日は朝から散々だ!

だが、悲劇はこれだけでは終わらなかった。

午後、出張で南品川に行く。
仕事が少し早めに終わったので、新宿のビックカメラに寄る事にした。
リフォームした部屋の壁に掛ける時計を買おうと思ったのだ。

前々からカタログを見て気に入っていたものが思ったよりも安く売っている。
機嫌を良くし、お買い物をする。
今日の朝は嫌な感じだったが、後半は良い感じじゃないか。

仕事も思ったより速く終わったし、
目当ての時計も思ったより安いし・・・
などと機嫌を良くしていた矢先の事である。

帰りの切符を買おうと、新宿駅に行く。
自動販売機で150円の切符を買うために、550円入れる。
500円玉と50円玉だ。

これで150円の切符を買えば、400円のお釣りが出る。

500円玉で150円の切符を買い、350円のお釣りよりも気分が良い。
それだけの理由である。それだけでも気分が良い。
お釣りがチャリシャリと返却口から出てくる。ん?

300円しかないぞ!

一瞬、顔が強ばる。なんでだ、何で300円しか戻らない?
手のひらを見る。300円。返却口を見る。何もない。
おかしいぞ。100円足りない。

私は焦った。今日1日の中で最も必死になっている自分に気付く。
もう一度手のひらを見る。300円。返却口。何もない。
100円足りない。おかしいぞ。どこだ何処だ・・・

返却口の奥の穴に光るものを発見。

あれだ。間違いない。私の100円だ。
そうか、返却口まで出切らずに、引っかかっていたのか。
私は安心してその100円を取ろうとした。その時である。

くっついて離れない!

なんだ何だナンダ?
100円玉は返却口の奥の穴のところで何かにへばりついている。
力を込めて引っ張ると、糸を引く感じが指先に伝わってくる。

ガムである。またガムである。

朝に引き続き、性懲りもなくガムである。
何処かのバカが、ふざけ半分で釣り銭返却口出口にガムをくっつけたのだ。
100円玉を見ると、薄緑色のガムがネットリと付いている。

誰だ、今日の後半が良い日だなんて言った奴は!

今日は朝から1日中ガムに祟られた日であった。
朝踏んだガムは、今はきれいにとれて無くなっている。
財布の中の100円には、ガムがネットリ付いている。

この100円をどうしよう。
ガムでも買うか。

どうでもいいが。

(2005/6/7)

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2005/06/05

本日のBGM

BN_Jutta_Hippwith zoot sims
Jutta Hipp (BN1530. July-1956)
ドイツ人才女、ユタ・ヒップの傑作である。
ユタのアルバムというより、ズート・シムズのリーダー作
といった感じが強い。
それは兎も角、ユタの控えめながら絶妙なピアノがいい。
ニューヨークでミュージシャンとして活躍したのは数年しかないため、
アルバム数も少ないが、中でもこれはお気に入りのアルバムだ。
1956年録音の、ハードバップの秀作として、
一度お聴きになる事をお勧めする。

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2005/06/04

最近感動した話

また新たなシリーズを画策している。
人から聞いた、あるいはTVやラヂオで聞いた、ふとした話の中から
感動できる話をご紹介しようというモノである。

今回はこんな話。


アフリカのある原住民にカレンダーをあげると、
12人で分けちゃうんだって。

そして、もらったカレンダーを、
10年くらい大事に使うんだって!!


私はこの話を聞いたとき、目から大量の涙を流しつつ、よじれまくった。
私の目からこぼれた涙の大部分は笑いすぎによるものだが、
その中に僅かながら、感動の涙も含まれている。

この話、よくよく考えてみると、面白いだけでは済まされない。
カレンダーは12ヶ月分揃って初めて価値がある。
それを仲間たち12人で分けてしまうのである。

おまけに、もらった原住民たちはそのカレンダーをなんと10年も大事に使ってしまうのだ。
ここで、「使う」 と書いたが、どう考えてもカレンダーとして使ってはいない。
恐らく壁か何かに貼り付けて鑑賞するのだろう。

10年も鑑賞し続けてしまうカレンダーに描かれているものはいったい何だろう。
富士山の写真だろうか、あるいは三浦理恵子のセミヌードだろうか。
富士山は分かる。10年くらい鑑賞するのも十分うなずける。だが、

アフリカの原住民に三浦理恵子の良さが分かるのか?

そんなことはどうでもいい。
大事なのは、このアフリカ原住民の行動である。
カレンダーを分け合い、それを10年も大事に使う・・・

彼らには時間の感覚がないのだ。

これは衝撃である。
きっと彼らは明るくなったときが朝で、暗くなったときが夜なのだろう。
そして腹が減ったときが昼なのだろう。

毎日時間に追われ、分刻みの現実を生きている日本人にとって、
この感覚は衝撃である。たとえ1時間といえども時計を見ないではいられない。
カレンダーも然り。いったい1日に何回日付を確認するだろう。

だから、アフリカ原住民の、カレンダーをみんなで分けてしまう行動に、
そしてそれを10年も使い続けてしまう行動そのものに、
とてつもない滑稽さを感じてしまうのだ。

だが本当に滑稽なのはいったいどっちだ?
時間にがんじがらめになっている我々のほうかもしれないぞ。

どうでもいいが。

(2005/6/4)

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2005/06/03

難しい話

今日、取引先の社長と取締役と飲んだ。
懇親会、という名の我慢大会。いわゆる付き合い酒である。
私にとって最も耐えられないパターンの飲み方だ。

酒なんて、本当に気の置けない仲間と肩の力を抜いて心おきなく飲むものだろう。
それでなければ、一人で飲みに行ってバーテンと他愛ないお喋りをする。
飲みたくもない相手と飲む酒ほど勿体ない飲み方は無いと思う。

だが、これも仕事。そう割り切って飲むしかない。

取引先の社長も取締役も、話す内容は似たり寄ったりだ。
若い頃はこんな手柄を立てた、毎日終電で帰っている、最近の若いモンは・・・
昔は見込みのある部下を定時後に鍛えてやった・・・

自分がいかに偉いか、如何ほどの成果を上げたか、
会社にどれだけ貢献したか、云々、云々・・・
60を幾つも過ぎているであろう、社長と取締役は武勇伝を披露し続ける。

部下に課題を与えて、それに対する取り組み方で評価する・・・
出来ない奴は視点のレベルが低い、私は3日間会社に缶詰になって難問に立ち向かった・・・
一生懸命鍛えてやっても、モノになったのはほんの一握りだ・・・

うるさいゾ、そこのジジィども! 自慢話なら孫の縫いぐるみにでも言ってろって!

などと心の中で思いつつ、顔ではニコニコしながら、
社長たちの話にいちいち頷いて、感心したフリを続けた。
ほぉ~、そうですかぁ、はぁ、そうですよねぇ、えぇ、仰るとおりですね。

お陰で、バカ社長と取締役はますます調子づいてきてしまった。

だが、腐っても鯛。取引先の社長&取締役だ。粗相があってはならない。
私もますます調子づいて相づちを打ち続けてやった。
その甲斐あってか、二人はたいそう満足げに帰って行った。

二人の与太話を聞きながら、
60を過ぎてなお、こんなところで自慢話をしているオッサンを眺める。
何か、情けない気持ちになってくる。

お前ら、人生を賭けてやってきたことが、そんなことなのかよ!

私にはどうしても、こういう事に価値感を見出す事が出来ない。
組織の中で大成することよりも、家族とともに過ごす時間を大事にしたいと思う。
家族あっての仕事ではないのか?その逆では絶対にない。

子供が生まれて、その成長の過程を見逃したくなくて、会社を辞めたお父さん。
こういうお父さんの生き方の方が、遙かにしっくりと受け入れられる。
自分の子供が初めて口をきく瞬間に、立ち会いたいじゃないか。

子供がはじめて歩く瞬間を、妻から聞くのではなく自分自身の目で見たいじゃないか。
ねぇねぇ、今日ね、○○くんがどこにもつかまらずに歩いたんだよ!
見ると聞くとは大違い。百聞は一見にしかず。

そして、それらを体験できるチャンスはそれぞれ一生に一度ずつしかないのだ。

こういう考え方をするオッサンは少ない。
日本は民主国家である。多数決が正義を決める。
少数派は正しくないのだ。多数派が常に正しい。それが民主国家。

だから組織のために自己を、家族を犠牲にする事は正しい事なのだ。
組織よりも家族を優先的に考えるのは正しくないのだ。
多数決がそう言っている。

だから、たいがいの場合、私は正しくない。
そして出世にも縁がない。
どうでもいいが。

(2005/6/3)

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2005/06/02

本日のBGM

BN_Joe_HendersonJoe Henderson
in'n out
なかなか聴き応えのあるアルバムである。
ジョー・ヘンダーソンらしくブリブリ吹きまくっていて
格好いい。
だがなんと言っても、
ジャケットのタイポグラフィが秀逸である。
いつも思う事だが、ブルーノートのジャケットは
どれもこれもデザイン的にカッコイイ。

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2005/06/01

朝の電車の中で・・・

朝の電車はいつも混んでいる。
私が通勤で利用している東京メトロ東西線は、身動きができないほどギュウギュウ、
とまではいかないので、そう言う意味ではましな方だろう。

ほとんどの場合私は、ドアの前に立って本を読んでいる。
その日もお気に入りの作家である、トム・クランシーを読んでいた。
電車が吉祥寺を出て、そろそろ西荻窪に着くか、という頃それは起きた。

ぶぶーーーっ!

結構大きな音である。
何の音って、誰もが馴染みのあるあの音である。放屁音。
混んでいる電車の中で、あれだけ大きな音でするとは大胆不敵である。

やがて香ばしい香りがやんわりと私を包み始める。

私は他人の放屁臭が大嫌いである。
自分の香りは懐かしいようないい匂いなのだが、同じ匂いでも他人のはダメだ。
嗅ぎたくもない他人の放屁臭を嗅がされると、レイプされたような気分になる。

だが朝の電車の中である。逃げることができない。
どんなヤツがこの香りを解き放ったのだろう。
脂ぎったオッサンの放屁だったら、私は息を止めるぞ。

そう思い、何気なく音のした右斜め後ろを見る。

数人の人が立っている。皆女だ。それも全員若い。
顔を見る。多少の差は認められるが、どの女も十分綺麗だ。
これならどの女が放屁していても良い。息を止めずにいよう。

匂いというものは実に不可思議なもので、発生源によって感じ方が大きく変わる。
自分の匂いは芳しい、若い綺麗な女の匂いはそこはかとなく味わいがある。
が、オッサンの匂いは手足が痺れてくるわ全身に震えは来るわの大騒ぎになる。

基本的に放屁臭なんて誰のでも大して変わりないはずなのに。

幸い、今回の香りの主は若い女のようだ。
これなら嗅いでも良いだろう。私は安心して思い切り空気を吸い込んだ。
その後しばらくして、再び同じ音が車内に鳴り響く。

ぶ、ぶーーーーっ!!

なんだ何だナンダ?またかよ!
あまりに堂々としているぞ。若くて綺麗なくせに、羞恥心が無いのかよ!
私は再び音のする方向を見た。

そこに立っている1人の女がカバンのジッパーを開けている。
カバンの中から携帯を取りだし、ジッパーを閉じる。
ぶぶーーーっ!

なんだ、さっきの音もこれだったのか。
私はジッパーの開閉する音を放屁音と聞き間違えていたのだ。
安心したような、がっかりしたような、得も言われぬ不思議な感覚が私を襲う。

駅に着き、私はホームに降り立った。
そこでふと、あることに思い至った。
それは私の歩みを止めるに十分なインパクトを持った内容だった。

でも、さっき確かに放屁臭がしたよな・・・

あれはいったい何だったのだろう。
ジッパーの開閉音なら、放屁臭はしないはずだ。
やはり最初のぶぶーーーっは、放屁音だったのだろうか。

まあ、たとえそうだったとしても発生源は若い綺麗な女だ。
嗅いでしまったが問題はないだろう。

ジッパーの開閉音と放屁音はよく似ている事に初めて気付いた。
どうでもいいが。

(2005/6/1)

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